黒地に金色の線で描かれた、鍵穴のある盾と、その周囲を流れる文書の断片の抽象イラスト

中小企業で生成AIを使う人の多くが機密情報の入力に強い不安を抱えている一方、それを防ぐ仕組みや社内ルールが整っている企業はまだ少数であり、「使っているのに備えがない」というギャップが現在の大きな課題になっている。

調査は何を明らかにしたのか

ITサービス会社のヤマネックスが2026年8月末に公表した「中小企業の生成AI利用実態調査2026」では、従業員300名以下の中小企業の社員・経営者らを対象とした調査で、生成AIを業務で使う人の87.7%が「機密情報の入力に強い不安」を感じていると回答した。一方で、機密情報を自動で検知・マスキングする仕組みを持つ割合は11.4%にとどまった。また、利用ルールが「ない」または「形骸化している」との回答は74.6%に上り、週1回以上生成AIを使う人は79.8%と、利用そのものは広がっていることがうかがえる。

なお、この調査は有効回答114件(全国)と150件(中国地方)という比較的小規模なものであり、日本の中小企業全体の実態をそのまま表す数字ではない点には留意が必要だ。傾向を示す一つの材料として受け止めるのが妥当だろう。

なぜ「不安」と「備え」の差が生まれるのか

背景の一つは、生成AIの広がりが現場主導で先行しやすいことにある。ルールや体制を整える前に、個々の担当者が手軽に使い始めてしまう。同じ調査では、中国地方の中小企業の43.3%が「推進できる人材・体制が社内外ともにない」と答えており、ルールを作る担い手自体が不足している様子も見える。不安はあっても、何から手を付ければよいか分からないまま時間が過ぎている、という構図だ。

経営にとって、何が問われているのか

生成AIは、使えば便利であるほど、入力してよい情報の線引きが曖昧になりやすい。顧客情報や見積書、社内の未公開情報を、意識しないまま外部のサービスに入力してしまう可能性は、どの規模の会社にも存在する。調査でも、ルールがない層は入力リスクが約2倍になるとされている。

ここで問われているのは、特定のツールを選ぶことよりも、「自社にとって守るべき情報は何か」を経営として言葉にできているかどうかだろう。その線引きがあって初めて、活用の幅を安心して広げられる。

まとめ

生成AIの活用は、使うか使わないかの段階から、安心して使い続けられる土台があるかどうかを問われる段階へ移りつつある。不安を感じている人が多いこと自体は、リスクへの感度が高いというポジティブな面でもある。その感度を、会社としての考え方や線引きに結び付けられるかが、これからの差になっていくと考えられる。